労働安全衛生法では、従業員が50人以上の事業場では産業医の選任やストレスチェック制度の創設などが義務付けられています。
事業場は本社、支社、営業所、工場など形は異なっても、従業員が働く場所のことなので、該当するのであれば法に定められている通りの対応をしなければいけません。
従業員が50人未満の事業場は努力義務をすることが求められる
このように労働者の健康を守る法律があることはとても有意義ではありますが、従業員が50人未満の事業場についてはどうなっているのかというと努力義務をすることが求められます。
努力義務ですから産業医を雇わず、ストレスチェックをしなくても処罰の対象にはなりません。
だからといって、何もしなくても良いという話とは違います。
たとえ従業員の人数が少ないとしても仕事が労働者の心身に負担をかかりますから、適切なケアをしなければ健康を損なうリスクは存在することを理解していなければいけません。
何も手を打たなければ、いずれ大きな事故が発生することだってありえます。
実際のところ、労災の統計をみると、4割近くが従業員が50人未満の事業場で怒っています。
規模が小さい企業では資金に余裕がないでしょうが、そういった事故が起きたときのことを考えるとしっかりと対策はしておくべきです。
専門家の意見を聞いて従業員の安全・健康を守る
では、どうするべきかというと、専門家の意見を聞いて従業員の安全・健康を守りましょう。
つまり、労働安全衛生法における産業医と同じ役割を果たす医師を雇うことが、一番の解決策になります。
そこで結ばれるのが、顧問医契約です。
これは名称を区別しているだけで、実質的には産業医と同じサービスを提供する契約です。
参考>>顧問医 産業医 違い
顧問医の仕事は、産業医と同じく労働者の健康を守ることです。
ただし、怪我や病気の治療をするものではありませんから、そういった医療行為は一般の病院・クリニック等に診てもらうことになります。
では、労働者の健康を守るために、具体的には何をするのかというと、次のようなことです。
例えば定期的に職場の見回りをしたり、休職者が復職する際の面談やストレスチェックにひっかかった従業員の面談をします。
他にも、流行病や熱中症など仕事をしているときに気をつけなければ行けない情報を発信したり、企業から労働環境等に関するアドバイスを求められたときに医師としての知識を活かした回答をします。
場合によっては、地域産業保健センターとの連携を助けることもあります。
多くの場合、顧問医としての仕事をするのは産業医をやっている医師であり、知識と経験は十分にあります。
ですから、たとえ小さい企業であろうとも提供されるサービスの質には違いがありません。
顧問医を雇うメリット
法律では義務付けられていない顧問医を雇うメリットはいくつかあります。
一番大きいのは、前述のように労災が起きることを防ぐことですが、それは同時に従業員が最高ができる状態を維持することでもあります。
それに義務ではなく企業が自主的に雇うとなれば、それだけ従業員の健康を守るために努力しているという姿勢をアピールできます。
そうして従業員のやる気を引き出せば、生産性が向上して業績にも影響がでてきます。
さらに、医師は労働法務にも詳しいので、事前に労働環境についての相談をしておくことで、法令違反が起きることを防げます。
それは、企業をトラブルから守るだけでなく、取引先に法令遵守をしているとアピールできるので、信頼を高めるのに役立ちます。
こういったことを踏まえて、どんな医師を顧問医として迎えるべきかというと、サービスの内容と料金そして実績などを参考にしたほうがいいです。
産業医と違い法律で義務付けられていないのですから、するべきことの規定はありません。
産業医と同じようなことをするとは言っても、例えば職場の訪問回を少なくしたところで罰せられることはないです。
そして、サービスの内容ですが料金と深く関係しています。
産業医と同じように手厚いサービスを提供するのであれば料金は高くなりますし、簡素なサービスにすれば料金が安くなります。
なので、従業員の健康を守るためにどこまでのサービスを求めるのか、そして料金がいくらまでならば支払えるのかという事を考えて、ちょうど良いバランスを決める事が必要です。
まとめ
そして、企業にとって役に立つアドバイスが出来るかは知識と経験が重要になります。
それを見極めるためには、産業医として、顧問医としてどんな企業と契約をしてきたのか、それから年数なども参考にすると良いでしょう。
もし、自社で選定が難しいようであれば、紹介サービスを利用する方法もあります。
企業の相談に応じて、地域や予算などの条件をもとに、最適な医師を登録者のデータベースから探し出して紹介をします。
紹介された医師と面談をして、契約内容を確認して問題がなければ正式に雇います。
何か条件等で折り合わなかったとすれば、別の医師を紹介してもらうだけです。
少なくとも、紹介サービスを利用せずに自力で探すのに比べれば、時間と手間の節約になります。