省エネルギーに関連した包括サービスを提供するESCO事業

ESCO事業とは

ESCO事業とは、省エネルギーに関連した包括的なサービスを提供するビジネスのことで、従来にはないさまざまな特徴をもっています。
わが国では経済産業省やその外郭団体などを中心とした研究活動は行われていたものの、本格的に民間が参入しはじめるようになったのは2000年代に入ってからと、比較的歴史は浅い分野になります。

もっとも本場にあたるアメリカ合衆国のほうでは、すでに1970年代からこの分野への興味関心が高まっており、特に世界的なオイルショックでエネルギーの需給が不安定になった時代を経ているという事情もあいまって、この間の業界全体における浮き沈みはありながらも、堅実な事業として成長を続けているところです。

ESCO事業は包括サービスが特徴ですが、そのなかには省エネルギー診断からはじまって、具体的な施設改修にかかわる設計と工事の施工、その後の設備の運転と維持管理、さらには資金調達までの分野がすべて含まれています。
このような大掛かりな事業を推進する上では、当然ながら多額の資金が必要になってきます。

パフォーマンス契約で効果を保証される

ESCO事業のユニークな点は、省エネルギー改修などに必要となる費用をこの事業の結果実現することになる光熱水費の削減分をもってまかなうことにしていることが挙げられます。
これはクライアントの立場で見ればかなりのインパクトをもつメリットです。

事業による光熱水費の削減効果については、パフォーマンス契約とよばれる特別な内容の契約によってあらかじめ保証されます。
万が一にもこのパフォーマンス契約が前提とした削減効果が事業を通じて得られなかったとしても、それは事業者が負担することになり、クライアントの側が責任を負う話ではありません。

このように光熱水費の削減分が事業費に充当されるということは、クライアントから見れば依頼をするにあたって新規の経済的な負担が必要ないことにほかなりませんし、リスクを負わずに成果だけを得ることが可能です。

契約期間を終了した後ですが、施設の改修によって省エネルギーのための設備が存在している以上は、継続して光熱水費の削減効果が発生しますので、そのメリットはクライアントが享受することができます。

大規模なオフィスビルや商業ビル・工場などに適用される

具体的にこのような事業が適用される施設ですが、大規模なオフィスビルや官公庁の庁舎・ホテル・病院・商業ビル・工場などが挙げられます。
最近では地球温暖化の問題は大きくクローズアップされており、省エネルギーを推進することには個別にメリットを追い求めるだけではなく、広く公益増進につながるという意味合いがあります。

このため官公庁がクライアントとなる場合は比較的わが国のなかでは多いほか、その他の民間のオフィスビルなどの場合も、リスクとメリットのバランスから見ても導入が望ましいことから、大規模な施設ほど熱心な傾向があります。

ESCO事業は施設改修が行われた後の効果の検証が適切に行われるという点でも注目すべきものです。
これも包括事業のなかに含まれてはいますが、一般的な単なる施設改修では見落とされがちな、施工後の成果の統計的な解析や、解析データを使った予測などは、省エネルギーという目的そのもののためにも、またここから派生する光熱水費の削減の度合いを最適化するという意味でも不可欠といえます。

節減額保証契約

ESCO事業の契約形態には大きく分けるとふたつのタイプがありますが、これは主に事業資金の捻出方法による違いです。
節減額保証契約とよばれる形態では、クライアント側が省エネルギー改修に必要となる経費をまず負担する必要があります。

もっとも事業者側では一定期間にわたる光熱水費の節減効果を保証し、もしも未達成の場合は補填することまでを約束しますので、契約期間を通じたトータルとしては、クライアント側の資金の持ち出しはないことになります。
また初期費用さえ支払ってしまえばクライアント側では後年度にわたる負担はいっさいありませんので、光熱水費の節減分はただちにクライアントの利益になるというところも特徴です。

節減額分与契約(民間資金活用型契約)

いっぽうの節減額分与契約、または民間資金活用型契約とよばれる類型ですが、これは事業者のほうで改修費用を負担することになりますので、クライアント側では初期投資に相応の資金を支払う必要がありません。

そのかわりにクライアントは契約期間内には節減された光熱水費の範囲内でのサービス料を事業者側に毎年支払うことになります。
事業者はこのサービス料によって事業にかかったさまざまな経費を償還します。

いずれの契約形態をとるにしても、光熱水費の削減分が事業の経費に充当されるという原則は同じですが、クライアント側で初期投資としての多額の資金を一括で用意しておくのか、それとも少額に分けて後年度負担のサービス料で対応するのかという、お金の出し方の部分での判断を迫られることになりますので、事情に合わせてどちらがよいのかを決めるべきです。

 

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